SGA性低身長について

 いろいろな原因で小さく生まれる赤ちゃんがいます。 生まれたときの体重が2,500gよりも小さい赤ちゃんを、以前はひとくくりにして「未熟児」と呼んでいました。この「未熟児」の中でも、お母さんのおなかにいる期間に応じた本来の大きさよりも小さく生まれた赤ちゃんを近年ではSGA(small-for-gestational age)児と呼んでいます。
 たとえば同じ2,000gで生まれた赤ちゃんが2人いたとします。そのうち一人は予定より1ヶ月はやく生まれた(在胎36週)赤ちゃん、もう一人は予定日通り(在胎40週)だったとします。この場合、予定より1ヶ月早く生まれた赤ちゃんの方は、もし予定日まであと1ヶ月お母さんのおなかにいて成熟すれば2,500gを超えていたことが予想できるため。SGAではない可能性が大です。 これに対して予定日までおなかにいたにもかかわらず、2,000gで生まれた赤ちゃんは、同じ40週間おなかにいたほかの赤ちゃんに比べて明らかに小さいことは容易にわかりますね。こちらの方は先程述べましたSGA児なのです。 このように生まれたときの体重のほかに、在胎週数(母親のおなかの中にいた期間)によってSGAかどうかが決まります。

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 ではSGAだとその後どうなるのでしょう?SGA児の多くは2歳までに急速に体が大きくなり、通常児と比べても極端に小さいということはなくなります(キャッチアップといいます)。しかしSGA児の約10%はキャッチアップせず、何もしないと低身長のまま大人になることがわかっています。またSGA児は乳幼児期に急速に身長・体重増加がおこるため将来肥満になる可能性が高くなる、思春期の発来が普通よりも早い傾向にある、糖尿病になりやすいなどの特徴が知られています。
 このようにSGAだとわかっていれば将来に起こりえる出来事に対して備えることができるでしょう。その中でも低身長に対しては、幼児期早期に診断がつけば適切な治療を受けることができ、将来通常児と同じ程度の身長発育が期待できます。
 先程述べましたSGA児の中で2歳が過ぎてもキャッチアップがみられず、低身長が持続する場合は「SGA性低身長」の可能性があります。専門家での診察、検査を経てSGA性低身長と診断されたお子さんで、成長ホルモン治療の適応があると認められた場合は、平成21年9月より成長ホルモンの治療対象となります。

SGA性低身長と成長ホルモン治療についてのQ&A

Q. どこにいけば診断がつくの?
A. SGA性低身長と診断し、適切な治療をするには特殊な専門知識が必要になってきます。信頼できる専門家のいる小児科・小児内分泌科を受診しましょう。当院でもSGA性低身長の診断、治療をおこなっています。受診の際はあらかじめお電話でご予約ください。


Q. 受診の際、持っていくものは?
A. 妊娠経過および出生時の記録(母子手帳)、現在までの身長の記録(毎年ある保育所や幼稚園での身体測定の結果など)


Q. どんな診察や検査をするの?
A.
1:お持ちいただいた成長記録をもとに成長曲線を作り、低身長の程度を判定します。
2:身長・体重の測定、心臓や内臓、からだ全体に大きな異常がないかの診察を行います。
3:骨の年齢を知るために左手の手首から先のレントゲン写真をとります。
4:このほか肝臓・腎臓・甲状腺ホルモンなどに異常がないか血液検査も行います。
5:また必要があれば染色体検査や、後日成長ホルモン分泌刺激試験を実施することもあります。
以上のことを順番におこなっていき、また詳しくご説明しますので、診察終了まで約45分程度かかります。


Q. 診断がついたらどんな治療をするの?
A. SGA性低身長と診断がつき、適応があると医師が判断すれば、成長ホルモン治療に入ります。これはご家族の方がお子様に毎日自宅で専用の注射機器を使ってお薬を投与する「自己注射」という方法をとります。もちろん治療開始の際には、くわしく機器の取り扱いや注射方法をご説明します。最近では改良がめざましく使い方も簡単で、お子様から針が見えないように工夫されており、針も非常に細く痛みもほとんどありません。


Q. 効果はあるの?
A. 日本よりも早くから治療を導入している欧米の調査では、成長ホルモン治療を受けると明らかに身長が伸び、最終身長も治療を受けなかった場合に比べて高くなると報告されています。また身長の増加はもちろん、血圧や代謝の改善、低身長改善による心理的効果ももたらされると報告されています。


Q. 副作用がこわいのですが…
A. もともと成長ホルモンは自分自身の体の中でも作られているものなので、非常に安全なお薬です。しかし時に肝機能障害がみられたり、ごくまれですが糖尿病や悪性腫瘍の報告もあります。このような副作用はほとんどの場合、いつ誰におこるか治療開始前には予測できません。そのため万一何かおこったときに迅速に対処できるよう、経験のある専門家のもとで定期的にフォローする必要があるのです。


Q. いつまで治療するの?
A. 一般的に治療期間は長期にわたります。これは幼児期から治療を開始し、成長が止まるのが思春期ごろであるためです。しかし成長の度合いは個人差があるため、一概にはいえません。


Q. 費用はどのくらいかかるの?
A. SGA性低身長による成長ホルモン治療は保険診療であるため、お子様の年齢や、保護者の加入している健康保険組合の種類、医療券の有無などによって窓口でお支払いいただく金額が決まります。また投与する成長ホルモンの量はお子様の体重によって決まるため、体が大きくなってくると使用する薬の量も増え、負担して頂く費用も上がることが一般的です。このように細かい条件によって費用は大きくかわってくるため、ひとことでいくら、と言えませんが、あらかじめ治療開始前には概算でお伝えすることが可能です。主治医にご相談ください。